オーディションの現在と未来(映画)

 

1.映画オーディションの準備及び進行時の注意点

 

-オーディションのプロフィール提出時は内容と写真に誠意を込めないと信頼を落とす可能性もありえる。だからと言って目立ちすぎる写真も良くない。普段の自分らしく誠意のある写真が良い。

 

-文語体の古典劇の台詞は完璧に準備出来ない限り、選択しない方が懸命だ。完璧ではないならオーディションを受ける俳優の現在の状況と時代劇の中の状況の乖離感として、オーディションを受ける俳優への信頼感を落とし兼ねない。

 

-他の俳優の真似をするのは、必ずしも良い方法でない。

 

-オーディションを準備して挑む際、自身の魅力を上手く表現する方法を探さなければならない。相手が望むものを探すのは良くない。“自分はこんな人間だ”と悪い男にならなければならない。 自分の魅力で審査員の心を鷲掴みにせよ!

 

-どこかへ自分を合わせようとせず、自身の内面の顔に対する認識を生かさなければならない。

 

-演出家の立場からキャスティングが全体の演出の半分以上を占める。それだけキャスティングが重要で、どうキャスティングを行うかで映画の出来上がりが大きく左右される。

 

-オーディションの最初の登場から準備された人が実行する時間は僅かだ。ウォーミングアップの時間を除いて、舞台に登場しながらすぐに演技をせよ。ソロ演技をする際は審査員または客席に一人の人間を定めて正面から目を見て演技せよ。また監督の目をずっと見ていても良い。

 

-登場した瞬間からがチャンスだ。そのチャンスを絶対に逃すな。オーディションとは写真館に写真を撮りに来たのではないのだから。

 

- 一人で座って海を眺める演技をする場合、ただ呆然と海を眺めず審査員や客席の一人を定めて演技せよ。人の目と目が会った瞬間、与える共感はとても大切である。

 

-オーディションを受ける際、審査員の無茶な要求を瞬時に反応する事は審査員への信頼に繋がる。 あらゆる状況を前提にオーディションを準備せよ。

 

-ワンシーンに対するオーディションを受けると言っても、その脚本のシナリオ全体の流れと前後のシチュエーションを十分に理解して演技しなければならない。人物の登場と退場まで全てをしっかりと認知しなければならない。

 

質問1)演劇を多くこなして来た俳優が映画のオーディションを受ける際、演劇的な発声(大劇場、風呂場での発声)をすると審査員達はどういった評価をするのか?

 

答1)演劇のベテラン俳優を長い目で判断した場合、理解能力が高く長い俳優生活に大きな長所を持っているだろう。ジャンルが重要ではなく上手く演じる事が出来たのか、出来なかったのか。または信頼を与える事が出来たのか、そこが大きなカギになる。

 

質問2)オーディションを受ける時の服装は無難なスーツを着た方が良いのか?

 

答2)スーツを完璧に着こなせるような俳優でない限り、楽な服装を着た方が良い。普段着ないような特別な服を着て行けば、そのぎこちなさが審査員にも伝わってしまうだろう。日常的な服装である程度スタイリッシュであれば良い。アクセサリーや派手な服装よりは気軽に人に会いに行くファッションが良い。あるいは俳優が自らの判断でその配役に合った服を行く場合、その人物に対する解釈が直接的に間違って見られる危険性がある。

 

 

 

2.映画での優れた俳優の条件

 

-演出家の立場からキャスティングが演出の約50%以上を占める。それだけキャスティングが重要でどうキャスティングをするかによって映画の成功が大きく左右される。

 

-普段から映画スタッフに対し礼儀正しく接せよ。いつどこでどのようにして再会するか分からない。 学校も同じ事であり日常に知り合ったスタッフが、いつどのように自分にとって大きな助けになるかもしれない。

 

-最近では独立映画でも俳優は十分にデビューが可能だ。

 

-俳優は台本を頭に叩き込み、演出家の演出も耳に入れて消化をしなければならない。 演出家からの演出を上手く消化出来なければ状況が困難になる。

 

-俳優が自分の撮影分量でない他人の撮影に興味を見せると他のスタッフ達は好意的に思うであろう。前もって現場に着いて周りと一緒に食事をしたからと言って嫌な顔をするスタッフはいない。スタッフ達と事前に親しくなって彼らの名前をすべて記憶せよ。仲間のように親しくなればその関係から俳優が時間と余裕を持つ事が出来る。映画は共同体の芸術である為、俳優が演技だけ上手くこなしたからと言って映画を成功させる事は出来ない。現場に誰よりも事前に到着している俳優ほど美しい俳優はいない。今まで成功した俳優達は演技以外の事で多くの人々に信頼を与え来たのだ。

 

-良い俳優になるには、まずその人自身に魅力があり周りから何か手助けしたいと思わせなければならない。充実した生き方をしてこそ良い俳優になる事が出来る。

 

-学生時代は沢山の独立映画や短編映画を経験した方が良い。

 

-映画の編集者とも仲良くせよ。いくら演技力が優れていても編集ひとつで俳優の演技を馬鹿に仕上げる事も出来る。

 

-映画は各シーンの前後が入り乱れる事が多い。もし断片の台本を受け取った場合、何とかしてでも全体のシナリオを手に入れて全てのシチュエーションの繋がるポイントを見つけよ。

 

 

 

3.模擬オーディション

 

合計6(男性3、女性3)の俳優らがある台本を持って一人ずつ合計6の模擬オーディションを行った。男性女性それぞれが同じ台詞を覚えて練習し、各自の解釈した通りオーディションを行った。台本の内容は演劇のあるワンシーンで、演劇を選択した理由は演劇の多少長いシーンと限定された時間の中で、映画のオーディション状況を比較する為に演劇シーンを準備せよと要求する。シチュエーションは次の通りだ。

 

シチュエーション- 男性が家に一人でいる。女性が男性との恋人関係にピリオドを打とうと今まで男性から受け取ったプレゼントボックスを持って男性の家にやって来る。激情した女性と慌てふためいた男性はお互いに言い争ったが、男性が予め準備していた愛の指輪を取り出した事によって女性の気持ちは雪解けのように静まり、二人は再び愛し合う感情を取り戻す。

 

男性1への指導

 

序盤の準備期間があまりに長いと良くない。映画オーディションの独り台詞を行う際、仮想相手を目の前にして演技するより、観客や審査員を見て演技をする方が良い。すぐに自分の台詞を消化して出来る限り仮想の対象相手のリアクションをさせる状況を奪え。映画のオーディションの時間は大体10分以内と短い時間となっている。

 

男性2への指導

 

審査員の立場で同じ場面、同じ台詞を言う色んな俳優を見ると確かに退屈さを感じる。時には4~5人が同じ台詞を行う場合もある。出来る限り他の俳優が言う台詞は避けた方が良い。自分は個人的に言うと自分で創作した台詞が好きだ。理由はその文章を書いた目的を汲み取る事が出来る為だ。

 

男性3への指導

 

 “カメラの真正面に立って前を眺めて、たった今行った演技をやって見せよ”

 

ラジオを聴いているみたいに、正面を見て体を動かすなということではない。ある程度は動きながらアングルから大きく外れないようにするのが良い。映画のオーディションは狭い状態からの状況が全般的である。即座に行う要求に俳優のコンディションが悪いように見えた時、監督の立場では‘体へ何らかの制約を感じているのか’と俳優にとってプレッシャーを感じさせてしまう。様々な要求への多様な可能性を前提にオーディションを準備して挑め。

 

女性1への指導

 

“自分のキャラクターについて説明してみよ”、“自分とキャラクターの共通点と違う点とは何か考えよ”俳優が審査員に演技が変化する魔術を披露しなければならない。観客の立場で俳優の視線が変わり一度下へ落としまた元に戻る瞬間、俳優が持つ魔法に期待する。まさにその瞬間を生かせ。 演技(心情)の変化する瞬間、俳優が持つ魔法を見せるチャンスだ。

 

女性2への指導

 

“キャラクターを何歳に設定したのか”、“25歳?では今度は40歳にして再び演じて見よ”

 

演技をしている最中、俳優が途中演技を止めれば審査員としては困惑する。俳優に対して信頼を失う。“今設定した怒りの大きさを数値で表せばどのくらいか”、“そこで20%程度低くし、再び演じて見よ”

 

女性3への指導

 

“箱に愛の重さを詰めて再び演じて見よ”、“ノックをする際、その箱に詰めた愛の重さを込めてノックし再び演じて見よ”

 

演技は上手く出来なくてもよいが、時間を遅れさせてはならない。その長い時間をカメラにすべて収める出来ない。台本を綿密に見回せ。行間を具体的に見つけて魔法を見せよ。皆がするような解釈より自分だけが持つ独特で深い解釈をするほど、俳優は信頼に繋がる。

 

 

 

質問1)ある俳優は画面受けが良い一方、ある俳優は実物の方が優れている。監督はオーディションを行う際、カメラアングルを見ず俳優を直接対面しているのに何か特別な理由でもあるのですか?

 

答1)まず人物を観察しようとします。アングルの中の姿は、後にカメラで何度でも回して見る事が出来るからです。

 

 

 

質問2)最後に私達に贈る言葉はありますか?

 

答2)私がこれまでこの仕事をやって来ながら、今現在他の分野にいる私の友人達と比較をするなら、我慢強く耐えてさらに年を取る毎に段々と良くなって行く自分を発見できます。顔にシワは増え年齢も増えていきますが、自分を発見してもっと円熟味を増すとでも言うのでしょうか、こうした部分に私はとても満足しています。皆さんは今後、無限の可能性を持った年齢になり、この方達の中で必ず素晴らしいチャンスをつかむ方がいると確信しています。頑張って行けば絶対に光り輝くチャンスがやって来るでしょう。最後にありがとうございました。

 

作成者-ジュニアメンバー チェ・ジェヨン